WWDC2015は開発者向けのイベントというだけあって、個人的にはインパクトが大きいものが二つありました。
それが「Apple Developer Program」への移行と「Swift」言語のオープンソース化です。
一般ユーザーにはあまり関係の無いところだけれど、開発者にとってはかなり興味深い内容だと思うので考察してみたいと思います。
開発者向けプログラムが「Apple Developer Program」に統一!iOS・OS X・watchOSの全部が配布可能に
もともとAppleの開発者向けプログラムは基本的に3つの種類が用意されていたんですが「Apple Developer Program」へ統一されることになりました。
(エンタープライズが付くものはこの説明では省いています。)
【参考】Apple Developer Program への移行 - サポート - Apple Developer
今まで3種類あった開発プログラム。
- iOS Developer Program
- Mac Developer Program
- Safari Developer Program
▼ひとつのプログラムへと移行。
- Apple Developer Program
僕はiOS用のアプリを配布したいと思ったので、「iOS Developer Program」を契約していますが、今後は「Apple Developer Program」に入ることでMac用アプリを開発して配布することも出来るようになります。
全部やろうと思うと金銭面的にもハードルが高かったわけですが、それがグッと低くなりますね。
【参考】WWDC:Appleの新開発者プログラムは、iOS、OS XとwatchOSツールを全て合わせて99ドルで提供 | TechCrunch Japan
「Swift」言語が2015年内にオープンソース化へ
そrから、Swiftが2015年内にオープンソース化されることが発表されました。
【参考】Apple、プログラミング言語「Swift」をオープンソース化へ - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)
Swiftのソースコード提供にはコンバイラーと標準ライブラリーが含まれるだけでなく、さらにLinux用に作られた同じソースコードも提供されるようです。
今までAppleが扱うiOS、OS Xに限られていたものが、Linux環境に広がっていくことで、アプリの移植作業や同時開発などがスムーズになる可能性が高くなります。
他のプラットフォーム向けのものがリリースしやすくなるということは開発者にとってありがたいことなんです。
この変化が何をもたらすのか?
WWDC2015で発表されたiOSとOS Xの進化を見てみると、デスクトップ向けのMacとタブレットのiPadがだんだん近づいているイメージ。「Split View」機能とかはそういう印象を受けるもののひとつ。
【関連】iPad使いにうれしい機能が搭載!iOS9の画面分割マルチタスキングが楽しみだ!WWDC2015
iPhoneとApple Watchの関係は、iPhoneというベースがあって、Apple Watchがあるというものだけど、watchOSの進化でこの関係は少しずつ変わってくる可能性があります。
こういう過渡期な部分を経ながらOSの移行が進んでいくんだろなーという中で、配布ライセンスがバラバラだと、開発者側にとってはどれを契約すべきか悩むところ。これを一つすることで、なるべくスムーズに展開できるようにするという戦略であるならうなずける気がしてきました。
そして、Swift言語をオープンソース化することで、Linuxを代表とする他のプラットフォームとの垣根が低くなり、利用者やアプリ・技術が流れてくることになれば、Appleにとって好ましい状況が作りだせることになるわけです。
そういう意図のもと新しい時代の変化を作り出そうとしているのではないでしょうか。
【参考】Appleのプログラミング言語Swift、オープンソース化で利用者層が拡大か - Computerworldニュース:Computerworld
あとがき
WWDC2015では新しい製品のリリースとかわかりやすい形での驚きはなかったのかもいしれないけど、開発者向けのカンファレンスということだけあって、そういう視点で考えてみると意外とインパクトが大きく感じられました。
様々な戦略も見え隠れする中で、今後の展開がますます気になっている状況です。OSの発表の次はやっぱりハードなので、どうなるか楽しみですよね。